Traditional Chinese Medicine Hand Therapy Tuina 本文へジャンプ
首の痛み

首の痛み、肩凝り、肩から腕にかけての冷感などの軽度な症状に始まり、次第に特徴的な症状として首を後ろに反ると肩甲骨や腕に走る痛み、腕から指にかけてのシビレ感がでます。

さらに、症状が進行すると、字が書きづらい、物が摘みにくい、腕や指に力が入らない、足が突っ張って歩きにくい(痙性歩行)、おしっこや便の出具合が悪い(直腸膀胱障害)などの症状も現れます。これらは頚椎疾患の症状の一部です。

中国医学ではこのような頚椎の頚椎増生刺激、神経根圧迫、頚部脊髄、椎動脈、交感神経、椎間板後退性変化により引き起こされる総合症候群を頚椎病、頚椎総合症と言います。

どうしてこういった症状が出るか?
それは骨が老化現象を生じ、怪我で痛めて長い月日が経って変化した椎間板変性・椎間関節の変性・靱帯の変性などが起こり、患部にある腕の神経を刺激したからです。

頚椎は構造上、7つの骨から構成されていて筋肉と靭帯で固定されていて、骨と骨を繋ぐ部分は関節になっていて蛇腹のように動き、首、頭を上下左右に動かす事が出来ます。また、腕は首からぶら下がっている状態なので損傷を受けやすい構造になっています。

損傷を受けやすい部分は椎間板、椎間関節、靭帯、神経になります。
椎間板の変性は、クッションの役割を担っている椎間板の脱水化現象によって亀裂(ヒビ)が発生し、やがて椎間板はスカスカ(高齢者に多い)になり、つぶれて、椎体の不安定になり結果、椎間板のクッション効果が弱まり椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・すべり症などの疾患が発生します。

椎間関節の変性は、滑膜は加齢的変化(年齢と主に変化する事=簡単に言うと老化現象)や軽微な外傷の繰り返しによって炎症が生じ、その結果、椎間関節の関節包(関節を囲んでいる袋)が弛緩(ゆるみ)・肥厚し、変性を起こします。
やがて、関節軟骨の変性が始まって、次第に椎間関節の変形が形成され、椎間関節の変性は狭窄症・すべり症・変形性脊椎症などの疾患が発生します。

靭帯の変性は、靭帯が加齢的な変化や慢性の機械的刺激により肥厚や変性、骨化現象が生じ、色々な疾患が発生する等が上げられます。

首で神経が圧迫されると肩こり、肩の痛み、腕がだるい、指先に痺れなどが出ます。
いわゆる頚椎疾患です。※ 痺れはこれ以外にも起こるので一概にこれだけではありません。

よく起こる場所は頚椎の下のほう(首の根元)です。
首の骨(頚椎)は7つの骨がダルマ落としの胴体のように重なっていて、上から第1頚椎~一番下が第7頚椎と言います。

首の動きは顎を引く前屈と、頭を後ろに反る後屈と、頭を横に倒す側屈、頭を捻る回旋とありますが、首の根元側の頚椎で首を前に倒し、後ろに反る動作の60%を、横に倒す動作の90%を、首を回す動作の50%を担っている為、動きがよい分、損傷し易いのです。

特に第5頚椎-第6頚椎間は可動域が広いので、負担が掛かり椎間板ヘルニアがよく発生し、この第5頚椎-第6頚椎間、第6頚椎-第7頚椎から出ていている腕や肩、背中の神経を圧迫することによって首の痛み、肩の凝り、冷感、肩甲骨や腕に走る痛み、腕から指にかけてのシビレが現れるという訳です。

それで、整形外科等で神経を圧迫していなか頚椎の変性は無いかをレントゲンやMRIで調べるのです。

中国でもこの様な症状を訴えた患者さんが来た時はレントゲン検査を行ないます。(私が留学していた当時は、高額機器のMRIは無かったです)

現在、中国の病院でもMRI、レントゲンで頚椎の状態などを調べます。
診断は診察とレントゲンで容易に判断できますが、日本では詳細な検討にはMRIを使います。尚、症例によっては脊椎・脊髄腫瘍との鑑別(見極め)が必要となる場合がありますので注意が必要です。
私の所ではレントゲンも無いし、診断も出来ないのでこの辺の診断は整形外科の先生にお任せしています。

中国医学≪推拿療法の治療≫
基本的な考えは西洋医学と同じ考えです。
頚椎病は病変部位によって頚型・神経根型・椎骨動型・脊髄型・交感神経型混合型に分けられます。

退行変化した頚椎が周辺靭帯関節包を圧迫刺激し損傷製炎症を起こし頚脊神経後枝から頚後部・肩背部の疼痛が現れるものを頚型と言い、骨棘、変性した椎間板、滑脱によって神経根が圧迫刺激を受け神経支配域の放射性疼痛、痺れを引き起こすものを神経根型などと分けます。


頚  型 :退行変化した頚椎が周辺靭帯関節包を圧迫刺激し、損傷性炎症を起こして脊神経後枝から頚後部・肩背部の疼痛が現れる。


神経根型 :椎間板変性、骨棘
)、滑脱によって神経根が圧迫刺激を受け神経支配域の放射性疼痛、痺れを引き起こす。多くはC4以下に発生するので腕神経叢の侵された症状を多くみる。

椎骨動脉型:骨棘、椎間板変性、滑脱によって椎骨動脈圧迫、屈曲により血流を阻害して眩暈・悪寒・耳鳴り・頚肩痛或いは後頭部の痛みなどの症状を引き起こす。


脊 髄 型:椎体後面の比較的大きな骨棘、変性した黄色靭帯が椎管内に侵入または変性した椎間板が後方に突出するなどにより痙攣性麻痺を引き起こす。(脊髄圧迫型)

脊髄型の初期は神経根型に類似して頚部に軽微な異常感覚があり、後期には間隔、運動、交感神経、血管類的各種表現が現れる。

下肢に力が入らない、脚が重い、身震い、爪先立ちが出来ない、よろける、排尿困難(直腸膀胱障害)、重症者は四肢麻痺、片麻痺

交感神経型:頭部症状:頚枕痛或いは偏頭痛、眩暈、目眩、頭部運動と症状は無関係

心臓症状:鼓動遅速変化、心前区疼痛、血圧不安定

周囲血管症状:雷承証(肢体、頭頚、顔面部に静脈が浮き出るハンドベイン)

出汗異常:局部肢体及び半側肢体多汗或いは少汗

眼部症状:眼瞼無力、乱視、眼球脹痛、涙が流れる

胃腸機能錯乱:腹寫、便秘

その他症状:耳鳴り、難聴、舌麻、咽喉不活、異物感、共済失調症など


混 合 型:臨床上よく見かける混合型頚椎病は、二種類、三種類混合型が混合し、頚型・神経根型・椎骨動脉型が多く、一つの型を主とし、同時に他の型の部分的症状を混在する混合型となる。神経圧迫部位は同じでなく、又症状も同じでない。よって臨床表現も同じでない。


本病は要手術と非手術の2種類に大別する事ができ、その大部分は非手術で治療が可能と考えられています。
その内、推拿療法は非手術方法として最も有効な手段とされています。


治療原則:舒筋通絡、疏筋活血、活血化瘀、理筋整復

治療方法は患部、病症に対してアプローチする方法が若干違いますが、ツボ刺激により血液の流れを調整し炎症を抑え、神経の痛みや、筋肉の緊張を取るなど神経の圧迫を軽減します。  

※舒筋通絡は経絡や経穴を刺激し、経路を疎通させることによって気血の流れを改善し、痛みを軽減する事

※疏筋活血は血が活発に流れるように筋肉、血管のを整える事
筋肉の緊張・痙攣の解除には痙攣した筋を伸ばし緩和させることで、筋の痙攣を止める事ができます。また、疾患部位における血液循環を改善し、疼痛を軽減することが出来きます。

※活血化瘀は組織の修復には血液の循環を改善し血行を良くし血流量を増加させて新陳代謝を高め、溜まった組織液や老廃物を取り除き腫脹を引かせ、損傷した組織を修復する作用があります。

※理筋整復は筋肉の緊張・痙攣を止め緩和させ、退行性変化などによって変位した脊椎・骨盤を矯正することができます。

このように中国の病院では推拿療法を活用して頚椎疾患を治療します。

基本的考え方
中国でも推拿を使っても症状が変わりそうも無い重傷な症状の患者さんは手術も行なわれています。
手術後に痺れが残る、いわゆる後遺症があれば再度、推拿を受けています。
以前、私の所へ来られていた脳神経外科の先生から聞いた話ですが、頚椎ヘルニアの術後のリハビリは無いそうです。
「手術をして後遺症が残れば西洋医学では最善を尽くしたのでそこまでです。」との事でした。
この事からも手術後、後遺症が残った方も推拿を受けることをお薦めします。

一般的な首の疾患にも推拿は適応します。
例えば寝違い・むち打ち・頚肩腕症候群・胸郭出口症候群・頚椎症(頚椎症性神経根症・頚椎症性脊髄症)・頚椎後縦靭帯骨化症・

CNMS(頚性神経筋症候群)など整形で診断が下されても症状はほとんど同じですし、中国医学ではこれらは病変部によって分類されているので治療方法は同じです。
これを中国医学では「異病同治」(病気は違うが治療は同じ)と言います。


椎間板ヘルニアなど腰椎疾患も頚椎と形状は若干違いますが症状が足に出るだけで基本的に推拿療法で対応出来ます。

イメージ

イメージ

イメージ

サイトに掲載されている、内容の無許可転載・転用を禁止致します。

   Traditional Chinese Medicine Hand Therapy Tuina