更年期障害

更年期障害(英: Menopause, postmenopausal syndrome、PMS)は、性腺ホルモンの低下に起因する症候群で、女性の場合は卵巣機能の低下によるエストロゲン欠乏、特にエストラジオールの欠乏に基づくホルモンバランスの崩れにより起こる症候群です。
男性でも加齢により男性ホルモンの一種であるテストステロンの急激な減少が起こることがあり、更年期障害が発生し、男性の場合はLOH症候群と呼ばれます。

TCM(中国伝統医学:Traditional Chinese Medicine)では女性の更年期障害を閉経前後諸証と言います。
定義として49歳前後に閉経を迎え、倦怠感、煩躁(はんそう:ホットフラッシュ)、イライラ、意識がはっきりしない、眩暈、耳鳴り、心悸、不眠、健忘、腰背部の疼痛、手足の熱感、焦燥感(しょうそうかん:焦りの気持ち)、顔面紅潮、よく汗をかく等、常に月経異常を伴う証候を言います。

中医学では中医内科(漢方)も推拿も更年期障害の状態を幾つかのタイプ(証)に分けて漢方やツボを選びます。
更年期障害は腎陰虚・腎陽虚・肝気鬱滞・心脾両虚の4つに分けることが出来、分類の仕方は主に症状です。

腎陰虚証の主要症状
頭暈(頭がクラクラする)、耳鳴り、足腰がだるくなる、脱力感、五心煩熱(手足胸の熱感)、寝汗、不眠、月経不順、口の中の乾燥、舌診/紅絳・少苔・無苔、脈/細数
腎陰虚証による更年期障害の治法は「滋腎補陰・佐以潜陽」
腎の中の陽気を抑える陰気が衰えると「熱性(ほてり)」の症状が強く現れます。

腎陽虚証主要症状
顔色が白い、身体の冷え、四肢の冷え、足腰がだるくなる、下肢の脱力感、軟便、夜中によくトイレに行く、むくみ、よく汗をかく、おりものの量が多くて希薄、舌診/淡白・胖嫩・歯痕・脈/沈細無力
腎陽虚証による更年期障害の治法は「温腎扶陽・佐以温中健脾」

肝気鬱滞証の主要症状
眩暈(目が回る)、煩躁(はんそう:ホットフラッシュ)、イライラ、乳房張痛、寝汗、日常的に汗をよくかく、生理不順、下腹部の痛み、舌診/薄黄、脈/弦
イライラ、煩躁(はんそう:ホットフラッシュ)などにより肝気欝結が引き起こされて気が鬱滞します。
肝気鬱滞証の更年期障害の治法は「清肝解鬱・疏汗健脾」
イライラや感情の起伏が特徴です

心脾両虚証の主症状
食欲不振、倦怠無力、浅い眠り、頭暈(頭がクラクラする)、健忘、汗をよくかく、月経量が多い、月経がなかなか終わらない、舌診/淡・薄苔、脈/虚緩無力
思慮過度(しりょかど)、飲食不摂生、過労などによって心脾両虚を引き起こします。
心脾両虚証の更年期障害の治法は「健脾益気・養心安心」
食欲不振や倦怠感が特徴です

TCMでは更年期の症状を弁証してタイプ分け(弁別)することによってツボを使い分けています。