中国医学婦人学科の歴史は非常に古く紀元前22世紀~紀元前1066年ごろの甲骨文に「疾育」(産婦人科疾患)という文字が見られます。
中医学的婦人病の病因には大きく2つに大別され、1つが外側の原因(外因)と2つ目が内側の原因(内因)です。
外因には寒(冷え)・熱(内側にこもる熱症)・湿(内側にこもる湿気)が関係する事が多いと考えます。
内因には感情の変化、特に怒る・悩む(思)・恐れるが関係する事が多いと考えています。
その他としては暴飲暴食(飲食不摂生)・過重労働・SEX過多も原因とされています。
これらの外因・内因によって※五臓六腑の臓腑機能失調、気血失調、子宮損傷が起こって様々な婦人病が発病すると考えています。
《産婦人科の治療原則》
産婦人科の治療では、他の科と同様、全身機能を調整する事に重点が置かれます。
診断には中医学独自の分析を行い、臓腑気血寒熱虚実を明らかにしたうえで治療原則を決めます。
婦人科の治療原則は腎を補い、脾胃を和し、肝気を疏し、気血を整え、衝・任脈を補う事を基本に中医学独自の分析(弁証論治)をもとにツボを選び出し、症状の改善をします。
推拿は手を使うので感染症の心配も無く、受けた感じはとてもソフトです。
実際に私の家内は結婚前は酷い生理痛でしたが、結婚生活を始めてからは生理痛、生理痛からくる頭痛など無くなりました。
その後、不妊治療の一環として多発性子宮筋腫の手術を経て36歳で出産しました。
《推拿で可能な疾患分類》
中国医学的に婦人科は月経病、帯下病、妊娠病、産後病、婦人科雑病に分類する事ができます。
月経病
月経不順:生理不順
月経先期:生理の周期が早い状態
月経後期:生理の周期が遅れる状態
月経先後無定期:生理の周期が遅れたり早くなったりする状態
月経過多:生理の量が多い状態
月経過少:生理の量が少ない状態
経期延長:生理期間が長い状態
痛経:生理痛
崩漏:酷い生理痛と量
閉経:無月経
月経前後諸証:生理に伴って起こる様々な症状
経行発熱:生理中の発熱
経行
帯下病:生理中のおりもの
妊娠病
妊娠悪阻:妊娠中のつわり
妊娠腹痛:妊娠中の腹痛
妊娠小便不通:妊娠中の小便不通
産後病
産後腹痛:産後の腹痛
産後悪露不絶:産後のおりものが止まらない状態
産後発熱:産後の発熱
産後身痛:産後の身痛
婦人科雑病
不妊症:不妊症
※《五臓六腑の臓腑機能失調》
五臓六腑の臓腑機能失調による影響がよく起こるのが腎臓と肝臓、脾臓になります。
腎臓は先天性の本(本質)と言って生殖機能や遺伝子的な機能を持っていると考えていて、腎臓に影響が出ると生殖機能の減退(生理不順)や不妊が起こると考えます。
肝臓は血量を調節臓器で感情の変化(気)も司っていると考えていて、肝臓に影響が出ると気のコントロールが利き難くなり月経不順、月経痛、妊娠悪阻、気鬱や逆に怒りっぽくなったりします。
脾臓は気血生化の源といって食べた物からの栄養(血)やエネルギー(気)を取り出す臓器と考えています。
脾臓に影響が出ると栄養(血)やエネルギー(気)を取り出す事が出来ないので月経不順、月経過少、閉経等が起こると考えています。
《気血失調》
気血失調には血虚・血瘀・瘀血・血熱・血寒・気虚・気鬱・気逆があります。
気虚は元気の気が虚弱で「気虚」 月経先期、月経量多い、崩漏、胎動不安、流産の原因にもなります。
気鬱は気の停滞 月経不定期、月経痛、閉経、不妊、乳房張痛の原因にもなります。
気逆は気の停滞にから逆に上に上がってしまう事で胸焼け、妊娠悪阻の原因になります。
血虚は血の虚弱の事で血が少ないという感じです。
脾臓で栄養から血の生成が出来なければ血虚にもなります。
脾臓の機能失調=気の虚弱 この場合の治療は脾臓を調整して血虚の証を治します。
瘀血とは血腫の事で血の塊です。
血の流れが悪いと瘀血が出来て痛みになります。
生理痛の原因にも瘀血が関係しています。
血熱は血が熱いイメージです。
血が沸騰している様なものです。
血熱になると月経が早いなどが起こり、月経過多、崩漏、月経先期などの原因にもなります。
血寒は冷えを訴え、内寒自生による生化機能失調或いは外感寒邪によって起こり、月経量少ない、月経痛、閉経、不妊の原因にもなります。
《子宮損傷》
子宮損傷は月経期や出産期に不衛生などの原因によって子宮が損傷し、月経不順、崩漏、帯下、産後発熱が起こる。
これら五臓六腑の臓腑機能失調、気血失調、子宮損傷が起こって子宮に影響を与えます。