頸椎疾患

首や肩の痛みの痛みで、一番多くみられるのは「頸椎疾患」によるものです。

首や肩が痛く、手の痺れなどの症状があって整形外科へ行くとストレートネック、むち打ち症、頚椎椎間板ヘルニア、頚肩腕症候群、肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)、胸郭出口症候群などと診断されて人は多いでしょう。

中医推拿ではこういった診断や症状を頚椎病(Jǐngchuí bìng)と言います。

頚椎病は頚椎総合症とも表現し、頚椎増生刺激、頚神経根圧迫、頚部脊髄圧迫、椎動脈刺激、交感神経刺激、椎間板後退性変化により引き起こされる総合症候群を言います。

頚椎の加齢による椎間板の変性(老化現象)や靭帯が厚く硬くなることなどにより、頚部の痛みなどの症状が発現したもので、神経根や脊髄が圧迫され、頚や肩甲骨付近の痛みや、頚肩から腕や手にかけて痛みやしびれを生じることもあります。

日本では頚椎症は頚椎性神経根症(CSR)と頚椎性脊髄症(CSM)の分類が一般的ですが、中国では頚椎病の病変部位によって①頚型・②神経根型・③椎骨動脉型・④脊髄型・⑤交感神経型・⑥混合型に分類します。

例えば、③椎骨動脈型頚椎病は日本の西洋医学における椎骨脳底動脈循環不全症や頚椎症からの回転による椎骨動脈循環不全といわれる状態で、症状として「眩暈」があります。

このような分類方法は遅くとも1985年初版の推拿学に記載されています。

推拿療法の適応範囲は広く、特にこのような頚椎疾患に効果が高いです。

頸椎疾患は要手術と非手術に大別できますが、大部分は非手術の治療が可能で、症状によりタイプ別に分けて治療原則を基に手技手法、取穴を選択します。

過去の事例を紹介すると年齢54歳 男性 職業:服飾デザイナーの場合
主訴:右側首、肩の鈍痛と第4指、第5指にかけて痺れ 就寝時、患側に激しい疼痛
2005年9月、国外で交通事故に遭遇。
軽い首の痛みだったが、帰国後、次第に動かすと右側の首と肩が痛く、就寝時に下にして寝ると痛みが激しくなり、整形外科で受診し、頚椎椎間板ヘルニアと診断されました。

整形外科の治療は牽引療法と鎮痛剤の服用をしていたが改善がみられず、2005年11月から推拿療法を開始しました。

推拿療法を行なっている際も整形外科へ通い牽引療法と鎮痛剤を継続していたが、就寝時、患側に激しい疼痛があり、眠れないので整形外科医に相談したところ心療内科を紹介され安定剤を処方されていました。

この時の弁証論治は「神経根型頚椎病」治法(治療原則):舒筋通絡・疏筋活血 手法:滾法・按法・柔法・一指禅推法を使っています。ツボと部位は痛みのある阿是穴を中心に手技を加えていきます。

結果:5日に1回のペースで推拿を行い、2006年5月の段階で症状が軽減、その後は週1回、2週に1回、月1回と間隔を開け推拿療法を行い、2006年9月には首肩の症状が改善。9月以降は経過観察中で特に症状が悪化したとの訴えは無かったです。
指導:健康保持増進のため肩の上下運動を指導

このように推拿療法の頚椎疾患に効果が高いですし、今も沢山の新規の患者さんが通われています。

写真は中国の病院で撮影をしたものです。