推拿療法の適応症状と効果

推拿(tuina)とは中国の病院で行われている医学の一つで、漢方や鍼灸と同じく中国伝統医学として確立し、多くの患者さんに支持され、アメリカでは 補完代替医療 Complementary Alternative Medicine(略:CAM)の一つとして注目を集めています。

2018年8月22日に放送されたNHK BSプレミアム『偉人たちの健康診断』【西太后 悲しき悪女のアンチエイジング】で推拿が紹介されました。

番組では19世紀、中国・清朝末期の実権を握り続けた女帝『西太后』は現代で言う「更年期障害」に悩まされていた事が当時の処方から読み解くことが出来、その中で晩年の西太后は「推拿」も受けていた内容となっていました。

番組では病院内に推拿外来があることも紹介され、上海で有名な小児推拿の「海派小児推拿 金義成老中医」http://www.ci-you.com も出ていました。
金先生も「推拿はツボを刺激することで治癒力を高め病気に強い体を作る」と言っていました。また、推拿は「血流を良くすると共に経穴を刺激している」「経穴を押した刺激が脊髄や脳に伝わり、関係する部位へ自律神経などの異常を調整するよう脳から指令が出て痛みの抑制・免疫改善・自然治癒力などを高める作用が働く」・推拿はあらゆる分野に有効で内科・外科・婦人科・小児科など色々な患者さんを回復させると話をしていました。

基本的な考えは中医内科、鍼灸科、推拿科共に同じで、体の中から整えるのが漢方(中薬)、外からアプローチをするものとして針を使うのが鍼灸、手を使うのが推拿となります。鍼灸と推拿はツボ刺激ですが、推拿は手を使うので点(ツボ)、線(経絡)、面(表面)に対してもアプローチを行います。又、筋肉だけではなく、骨格に対してもアプローチをするのも鍼灸と違います。
推拿の良さは器具や薬を使わず、手技のみで生後2週間の新生児から高齢者まで、整形外科系、小児科、内科、婦人科と適応範囲の広さが挙げられます。

疾患に対して推拿をする事はもちろん健康保持、予防医学として推拿が出来る事も注目すべき点だと思います。
鍼灸や漢方より太古から伝えられて来た技術と中医基礎理論に加え、現代西洋医学も加えられた点が適応範囲の広さを裏付けています。
また、世界中にある手技手法が推拿の手技に多く含まれていている点も特徴だと思います。

推拿療法の適応症状

症状に対する推拿の適応範囲は非常に広く、頭痛 偏頭痛 めまい イライラ 立ちくらみ 肩こり、首の痛み、手の痺れ、五十肩、肩関節痛 背中の痛み 腰痛 坐骨神経痛 膝痛 膝の腫れ 関節痛 こむら返り 足のしびれ 足のむくみ 足がだるい 顔面神経痛 眼精疲労 鼻づまり 喉の詰まり 顎関節症 美肌 手のしびれ 腕のしびれ 胃痛 お腹の張り 便秘 下痢 生理痛(月経痛) 生理不順 心身症 倦怠感 慢性疲労など外科系から内科系、小児科系と様々な症状に効果が期待できます。

推拿療法の効果

推拿療法の一つとして大脳皮質の機能調節と血管を拡張させ血圧を降下させることが出来ます。

滾法・拿法・圧法・按法・擦法・抹法などの手技で血管へアプローチをすると血管壁の内側が刺激され、血管を柔らかくする物質:NO(一酸化窒素)が現れ、これによりCa依存性NO代謝を亢進させ、適度な弛緩状態を誘起する事によって組織の加齢性機能低下をかなり減速することが出来、活性酸素とNO代謝の観点からも動脈弛緩性循環改善作用によって血圧が下がるのだと考えられています。

また、血流を良くすることによって酸素と栄養をより多く循環させ、細胞の損傷と回復を促し、体内に蓄積した老廃物を排出することが出来ると考えています。

そして古来よりこのような効果を中医学では「活血」と言って来ました。

推拿療法は太古より伝わる手技療法ですが、現代の目線から見ても非常に効果の期待が出来るものです。

手技

推拿の手技は整体、按摩マッサージ、柔道整復師の手技と違います。
按摩マッサージ、柔道整復師に無い手技が多数ありますが、振(摆:bǎi)動類の「滾法:和名/こんほう」と「一指禅推法:和名/いっしぜんすいほう」を紹介します。

滾法だけで習得するまでに8000時間は要すると言われています。
滾法、一指禅推法は一定のリズムと幅、力加減で共振(共鳴)を体内に起こさせます。
滾法の共振(共鳴)によって身体が持つ固有振動数を発生させ、体のインナーマッスルや内蔵まで力を伝達する事が出来ます。 また、腰部に対して運動療法(他動運動)を加えて筋肉、関節を動かしながら、滾法をする事によって可動域を広げ、症状の改善をしています。この振(摆:bǎi)動類が他の徒手療法と大きな違いです。

2005年に発表された复旦大学力学与工程科学系、シンガポール国立大学机械与工程制造系、上海中医药大学附属岳阳医院の共同論文発表にも流体力学から考えても滾法の「浸透」は血管に対する血流量の増加が認められた。と書かれています。日本では馴染みのない推拿ですが、海外では研究も非常に進んでいます。



一指禅推法も滾法と同じく共振作用を一転に集中させ深部へ伝達させ、斜搬法、旋転復位法など数十種類の及ぶ手技を使い分けて推拿療法の効果を最大限に引き上げます。

推拿の手技は陰陽調節、経絡疎通、気血宣通、活血散瘀、消腫止痛、関節通利、筋骨強壮など、生体機能を調整し、病原因素を除去します。

手技によって血管へアプローチをすると血管壁の内側が刺激され、血管を柔らかくする物質:NO(一酸化窒素)が出現し、NO代謝を亢進させて、適度な弛緩状態を誘起。

NO代謝亢進よって組織の加齢性機能低下を減速させ、活性酸素とNO代謝によって動脈弛緩性循環改善(血圧が下がる)。

血流を良くすると酸素と栄養をより多く循環すると細胞の損傷と回復し、大脳皮質の機能調節・血管を拡張させて血圧降下、筋肉の痙攣を解除、関節を正常な解剖位置に戻します。

 

  • はてなブックマークに追加