乳がん術後ケアは浮腫予防に大事です!

2008年12月に私の母が乳癌になり、私の推拿乳癌術後ケアを受けたのをきっかけに本人の希望によりHPに掲載する事になりました。

母の乳癌組織は右胸に2cmほど、リンパ節にも一部に癌組織があったので切除しました。(ステージⅡ)

2009年1月の症状は「腕の痛みと痺れ」「肩が上がらない」、そして抗ガン剤治療も始まり抜け毛もありました。手術直後は痛みで腕も上がりませんでした。

乳癌術後の後遺症としてよく上げられるのが「腕の痺れ」と「リンパ浮腫(腕のむくみ)」です。

「リンパ浮腫」は手術の時に腋窩にあるリンパ°節に癌の転移があるかどうか調べるため、また再発防止(転移)のために切除されます。
後に手術した側の腕のリンパ体液の流れが悪くなりリンパ浮腫となります。
リンパ浮腫はリンパ節切除手術を受けた患者さんに起こりますが、患者にとって浮腫になるか予測することはできません。
病院でも何ヶ月もむくんだ状態が続くと抗生物質、マッサージ、スリーブの着用などが必要となってきます。
数ヶ月間、浮腫(むくみ)が続くと浮腫は取れなくなるので早期の予防と治療がお勧めです。

「腕の痛みや痺れ」は手術後数ヵ月間がピークで、その後2、3年程度までに症状の改善が期待されますが、最終的に後遺症が残る可能性が高いです。

後遺症による痺れのケアは西洋医学にありませんが、中医学の推拿療法には経絡に沿ってツボを刺激することに改善する事ができると考えています。

「腕が上がらない」のは痛みによるものと、手術による胸部筋組織損傷によって起こり、痛みも傷口も徐々に改善しますが、腕や肩を動かさない事によって五十肩のように肩関節が癒着して稼動範囲が狭くなってしまいます。

リンパ浮腫は中国語で淋巴水肿:Linbā shuǐzhǒngと言います。
 
定義として浮腫は血管外の皮下組織に過剰に溜まった体液を言い、原因は癌治療において手術でリンパ節を取り除き、放射線治療などによってリンパの流れが停滞することによるものです。。

乳癌や子宮癌の手術時に附近のリンパ節への転移の可能性を踏まえて切除されるために起こり、ほとんどの方がこのケースに該当します。

切除されるリンパ節の部位、数などにより影響される程度も異なり、病気の進行程度や術式の選択によって様々で、その後に放射線治療を加えたかによっても異なり、全く同じ治療を行なわれても個人により大きく違います。

他にも色々な浮腫があり、浮腫は主に全身性浮腫と局所性浮腫に分けられ、圧痕を残す浮腫と圧痕を残さない浮腫に分けられます。

圧痕を残す浮腫の原因は心不全、腎臓疾患群、肝硬変、薬剤性などが考えられ、圧痕を残さない浮腫の原因は甲状腺機能低下症による粘液水腫(アルブミンとムコ多糖類の結合物が間質に貯留した状態)、好酸球性血管性浮腫、リンパ水腫などが考えられます。また、局所性浮腫の原因には静脈性やリンパ性、深部静脈血栓症等もあります。

治療はスキンケア、リンパドレナージ、圧迫療法、圧迫下での運動を組み合わせた「複合的治療」が推奨されていて、中医推拿でも効果は有効と考えられます。

実際に母親のリンパ浮腫に対して効果を確認しています。
2008年:乳癌による右側乳房一部切除
患側部に2cmほどリンパ節も一部切除。(ステージⅡ)
2009年1月の症状
「右腕の痛みと痺れ」「肩が上がらない」「抜け毛」「リンパ浮腫」
手術直後は痛みで腕も上がらず。

治療:放射線治療+抗癌剤治療
推拿療法開始
2019年:浮腫なし

ブログサイトには術後3年を経過した時の写真を掲載しています。
写真は手術後の傷跡と腕の状態です。

10年以上が過ぎていますがリンパ浮腫は見られません!
執刀医で経過観察もして頂いている主治医の松井先生(あべの松井クリニックURL:http://abenomatsui-clinic.com) も感心してくれています。

医療機関にも「リンパドレナージュ」といって医師や看護師が行う術後ケアもありますが、全国区で見ると非常に少ないですし、少ないが故に乳癌患者さんは浮腫ケアが出来ない事は非常に残念です。

リンパ浮腫をあきらめる事は無いです。
しっかりとケアをしていけばリンパ浮腫になる事もありません。

推拿療法は経絡に沿ってツボを刺激しながら腕の稼動範囲を広げ、動脈・静脈・リンパの流れを良くし浮腫の予防をします。また腕、肩を柔軟に動かす事によって損傷部位に新しい血液を行き渡して回復を促進します。

この他に鍼灸や漢方療法がありますが、鍼灸療法は感染症のリスクから医師に止められます。
漢方療法は内部から再発予防が出来ますし、抗ガン剤による免疫力低下に効果的です。

医師と相談の上、こちらで相談して頂けましたら紹介させて頂きます。
術後ケアに不安をお持ちの方、浮腫予防をお考えの方は一度ご連絡を下さい。


ブログサイトで経過を掲載していますので参考にして下さい。
http://blog.livedoor.jp/tcmtuina/archives/cat_35933.html