小児推拿:ベビーマッサージ?いえいえ、小児推拿です。

小児に対して推拿をおこなう事を小児推拿と言い、推拿の中でも子供に対する小児推拿は中医学の特色のひとつです。


小児推拿:Xiǎo’ér tuīná(しょうにすいな)とは中医学推拿(tuina)の子供に対して行う徒手療法の事を言います。
小児推拿の歴史は古く、紀元前14世紀ごろ中国大陸 殷代の頃には甲骨文字に「撫摩腹」の記述があり、古くは「小児按摩」と呼ばれていましたが、1604年:襲雲林編「小児推拿秘旨(最初の小児推拿専門著書)」によって後世に広く伝わるようになりました。

現在、中国の病院に「推拿科」があり、その中で患児に対して小児推拿療法が行われています。

小児推拿の適応範囲は下痢、便秘、夜泣き、おねしょ、消化不良、食欲不振、栄養不良、咳、初期の風邪症状、新生児筋性斜頸、斜視、小児麻痺など幅広いです。特に斜視や脳性麻痺に効果が高いです。

日本では「小児はり(小児鍼)」が知られていますが、中国では「小児推拿」の方が有名です。
実は日本の「刺さない小児はり」は小児推拿の「刮痧法」の影響を受けています。但し小児推拿は小児経絡図があるが、日本の小児はりは小児経絡図が無く、弁証論治も無いので現状は違います。

ベビーマッサージと何が違うか?
それはタッチケアによる子供とコミニケーション(スキンシップ)が一般的なベビーマッサージで、弁証論治、治法、手技手法、取穴(小児経絡)による子供の「疾患治療」が小児推拿と言えます。

小児あんま(小児按摩)と何が違うか?
日本に伝わる小児あんまもルーツを辿れば中国から伝わったのですが、日本の小児はりと同じく、小児経絡図が無いですし、小児推拿特有の手技も弁証論治も無いので現状は違います。

健康で元気な子供の育成
早い時期から小児推拿を受けると健康で元気になお子さんになりますよ。

小児は消化器系統も自律神経もまだまだ未発達です。
簡単に説明すると自律神経未発達による自律神経亢進症や自律神経失調症の症状が現れると言う事です。
そこで小児経絡と自律神経にアプローチをして症状の改善を図ります。

なぜ小児推拿で下痢や、便秘が改善するのか?
小児(新生児を含む)の下痢でいうと本来、小児は成人と違って消化機能が未発達の為に起こっています。
その為、分解・吸収が上手く出来ないので下痢になる。
これを推拿の手技で胃・脾臓・肝臓・大腸のツボに作用をかけて分解吸収を促進させます。
小児推拿では3-5回の治療を基準に、患者の症状にあわせて経穴と手法を決め、治療を行ない、早い場合は2,3回で効果を示すこともあり、効果は比較的高いです。

これら推拿の手法をうまく使うと、胃酸の分泌や、消化酵素の働きを高めることが可能で、免疫力を高める事も実験のデータによって明らかになっています。

小児推拿はこの消化器系統も自律神経などを刺激して機能発達を安定、促進をする事を目的にしているので、結果的に健康で元気なお子さんになります。

中国の病院では
中国の大きな病院では小児推拿科が設けられていますが、ほとんどの推拿科の午前中は小児が対象で、午後からが新規と成人が対象となります。

なぜ中国では小児推拿が発達したかと言うと、例えば2歳3歳児に鍼灸を打つ時に動かないように言い付けても言うことを聞かないですよね?

お薬を飲まそうとしても飲みますか?
小さい子供ほど吐き出して飲まないですよね?
その点、推拿の場合、療法が手(手技)なので、もし動いても子供を傷つける心配がないという事から小児推拿が発達しました。また、鍼や薬のように治療道具を必要としなかった事も理由の一つとして挙げられています。

現在、中国でも医療費高騰が言われていて、中国政府も予防医学(中医学では未病先防:発病する前の未病を先に予防する)、医療費削減の一環として小児がいる家族に簡単な小児推拿を指導しています。

写真は上海中葯大学付属 岳陽中西医結合医院 小児推拿科の診療風景で、この病院は中国国内の推拿研修センターとして有名で各省から中医師が研修に来ていますし、朝早くから沢山の子供を連れたお母さんが病院に来られています。


2枚目と3枚目の写真はお通じの調子を整える「捏脊」と言う手技の写真です。
捏脊は千年以上昔から使われている手技で効果は非常に高く、3~5ほど行う事によって胃腸を整える健脾、健康に体を強くする強健身体、元気を増やす培元気など色々な効能があります。

他にも、下推七節骨(和名/かすいななせつこつ)を例に上げて説明をしてみましょう。
場所は仙骨、名前の由来は古代の人々が歴史と思想を背景に命名されたと考えられます。
この七節骨を下へ一方向推する手法を行うので下推七節骨と言い、逆に上へ一方向推する手法を上推七節骨と言います。
この下推七節骨には「排便」効果があります。
大学の教材に「下推七節骨能瀉熱通便,多用干腸熱便秘,或痢疾等症」と記載されています。
中医学の訳だと「下推七節骨は瀉熱通便、腸熱便秘、或いは感染性下痢の痢疾などの症状に効果がある」となります。
この下推七節骨の効能は瀉熱通便、排便作用がある訳ですが、解剖学的に説明をすると、この場所には脳と繋がっている自律神経(交感神経・副交感神経)が来ています。
そして横行結腸から直腸に至る消化管、膀胱、卵巣、卵管、子宮、精巣、精管、精囊、前立腺などに繋がる骨盤神経叢と呼ばれる構造をつくっています。
下推七節骨は自律神経(交感神経・副交感神経)、骨盤神経叢を刺激して排便コントロールをするのです。

中国では1979年から2012年に発表された論文数約3300本の内、下推七節骨に関連する論文数は1000本ぐらいあります。
 
小児推拿ってどうやるの?
「小児推拿ってどうやるの?ベビーマッサージと違うの?」という疑問に説明をしたいと思います。

様々なツボと手技を組み合わせて症状によって使い分けます。

日本での一般的なベビーマッサージの内容はお子さんとご両親とのスキンシップの一環という感じがしますが、中国医学の小児推拿は医師による積極的な症状改善、治療方法というものになり根本的に違います。

 

斜視・斜頚について

小児の斜視・斜頚に対しても小児推拿は非常に有効です。

日本では経過観察後、改善が見られないい場合に手術となりますが、中国では小児推拿で斜視、斜頚を治療しています。

特に斜視、斜頚が判明した直後から早期治療を開始します。
斜視の場合、治療効果が良く逆に発症から時間経過が経つと目の筋肉の膠着や視神経が形成をしてしまう為、治療効果が低いとされています。
写真の子供は産後の診察で全盲と診断を受けていましたが、当時4歳のこの頃は物がぼやけならでも見えていました。

下の写真は斜頚の治療をしているところです。

お子さんの将来の為に、また手術までは。。。。とお考えの方は受けて頂きたいと思います。
気になる方はご連絡を!

追記
2014年に小児推拿をもっと知ってもらうようにと特定非営利活動法人 TCM小児推拿協会を設立しました。
URL:http://tcm-tuina.or.jp

子育て支援の一環として、お母さんをはじめ、小さなお子さんの居るご家族の方、医療従事者、指導が出来る人材を育てる取り組みを行っています。
簡単な症状や急な発熱などはママ(パパ)達がお子さんに小児推拿をしてあげて、ちょっと出来ない症状はNPO法人 TCM小児推拿協会会員の治療院で見て頂く様になればと思っています。
定期的に一般向け講座や会員向け勉強会を開催しています。